実際に会ったバイク事故の状況を取り上げて、どんな危険が潜んでいるのか、どうすれば事故を防げたかについて検証していきます。ライダーの皆さんが安全運電を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
今回取り上げるのは、急な進路変更による貨物車との衝突事故です。
事故の内容
事故が起きたのは片道2車線の直進道路でした。バイクの事故はカーブで起きやすいこともあって、ストレートな道で起きる事故についてはあまり取り上げられませんが、取り回しが車よりも軽いぶん、後方へ注意を向けずに車線変更をしてしまい、後ろから衝突される事故があります。
ライダーは、片側2車線の左側を先行していました。一方、右側道路の後方には大型貨物車が時速は70kmで走行していましたが、貨物車のドライバーが左前方のバイクが少しふらついていて危険だと思ったようです。
貨物車のドライバーは、前方にいるバイクを追い抜こうと決めました。念のため時速50kmまで減速をしつつバイクに接近していきましたが、急にバイクが右側の道路へ侵入してきました。先の交差点で右に曲がろうと車線変更を決めたのです。
貨物車はバイクをよけきれず、左前面とバイクが接触。貨物車にはじかれたバイクは転倒し、そのまま右前方およそ14メートルまで滑走しました。
焦りが招いた衝突事故
ライダーのほうが急な進路変更をしてしまった原因は、うっかり道を間違えたことに気づいたからでした。右に曲がるべきときに曲がれなかったのです。それに焦ったライダーは「右に曲がらなくては」という意識だけが先走り、後方を確認することを怠ってしまったことが事故の原因でした。
どうすれば事故を防げたのか
事故は「後方車のほうが過失割合が大きい」と理解されがちですが、車線変更をする3秒前にはウインカーを出さなければならないと定められています。よって、もし車線変更をする際にウインカーを出していなかったと確認された場合、過失割合は前方車が90%、後方車10%となります。
この事故は、バイクが後方を確認せずに車線変更を強行しようとしたことが原因です。たとえウィンカーを出していても、車線変更への切り替えが早すぎると判断されたでしょう。ただ、危険を感じた貨物車が、バイクを追い抜こうとするのではなく十分な車間距離を開けることを優先していれば接触は避けられた可能性もあると思われます。
このような時には、バイク側は「焦っている」と自覚があったらどこかで停止をして目的地をしっかりと確認してから再度出発するべきでした。
バイクは転倒しやすい乗り物ですから、一瞬の判断ミスが事故につながります。バイク事故が出勤・通勤時に多いのも、焦りによるバイク事故がいかに多いかを物語っています。道を間違えたときにゆとりある対応がとれるよう、時間に余裕を持った行動を心がけるのが大切です。